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ホテル・旅館のLINE多言語対応|問い合わせを減らす設計

2026年7月17日 公開

インバウンドの問い合わせが増えると、まず「翻訳ツールを入れよう」という話になります。ただ、実際に宿の現場で起きているのは翻訳の精度の問題ではなく、同じ質問が毎日、別々の言語で、フロントが最も忙しい時間に届くという問題です。翻訳して丁寧に答えるほど、答える件数は減りません。

この記事でわかることは次の5つです。

  • 翻訳ツールを選ぶ前に決めること(問い合わせを3層に分ける)
  • 先回りで消せる質問と、それをいつ届けるか(4便の設計)
  • 翻訳に任せてよい文と、任せてはいけない文
  • LINEが通じる国と通じない国。何ヶ国語まで用意するか
  • OTA経由のゲストと、どうやって接点を作るか
LINE公式アカウントの仕様に関する記述は2026年8月時点の公開情報にもとづく一般的な整理です。機械翻訳の訳文は誤りを含むことがあり、宿泊約款・キャンセル規定など権利義務に関わる案内は翻訳のみで完結させないことをおすすめします。予約サイト(OTA)ごとの規約は各社の定めをご確認ください。なおLCALLは本メディアの運営元が提供する自社サービスです(PR)。

最初にやるのは、翻訳ツール選びではない

問い合わせは3つの層に分けられます。どこに何を割り振るかを決めないままツールを入れると、全部が3層目(人が対応する)に落ちてきます。

何を置くか効き方
①聞かれる前に答えるチェックイン時間、Wi-Fi、大浴場、朝食、駅からの行き方いちばん効く。件数そのものが減る
②自動で答える①で消えなかった定番の質問。自動応答リッチメニュー件数は減らないが、フロントの手は空く
③人が翻訳して答える個別の事情がある質問、変更・要望、トラブルここだけに人を残す。ここに全部来ると回らない

始め方は単純です。1週間分の問い合わせを書き出して数える。記憶で作らないでください。宿泊業は質問が定型化しやすく、たいていは上位10件で大半が片づきます。数えると「Wi-Fiのパスワードだけで週に何十件」といった、想像とは違う実態が出てきます。

先回りで消せる質問を、4便に割り振る

①の層は、内容だけでなく届くタイミングで効き方が変わります。チェックインの案内を予約直後に送っても、当日には忘れられています。次の4便に割り振ってください。

いつ送るか入れる内容これで消える質問
予約直後チェックイン/アウト時刻、住所と地図、駐車場の有無、支払い方法「何時から入れますか」「車は停められますか」
前日最寄駅からの行き方(所要時間つき)、送迎の有無と予約方法、到着が遅れる場合の連絡先「駅からどう行けばいいですか」「遅れそうです」
到着日の朝荷物の事前預かり、天気に応じた一言、周辺の食事どころ「早く着くので荷物を預けたい」
チェックイン後Wi-Fiのパスワード、大浴場の時間と入浴のしかた、朝食の時間と場所、館内設備、浴衣・アメニティ大浴場・朝食・Wi-Fiまわりの問い合わせ全般

4便はシナリオ(ステップ配信)で一度組めば自動で回ります。特に効くのが4便目です。大浴場の入浴方法・タトゥーの扱い・浴衣の着方は、聞かれるより「知らないまま失礼になる」ほうを海外ゲストは恐れています。先に書いておくと質問が減るだけでなく、滞在の満足度そのものが上がります。

頻繁に見られる情報(Wi-Fi・朝食・チェックアウト時刻)は、配信で流すだけでなくリッチメニューに常設してください。配信は流れていきますが、メニューは滞在中いつでも開けます。

翻訳に任せていい文と、任せてはいけない文

機械翻訳は年々良くなっていますが、誤訳したときの損害が大きい文があります。ここは分けて扱ってください。

扱い内容やり方
翻訳に任せてよい館内案内、営業時間、道順、周辺のおすすめ、雑談そのまま翻訳して返す
任せてはいけないキャンセル料、追加料金、アレルギー・食材、宿泊約款、年齢・人数の制限日本語と英語を併記し、金額と時刻は数字で書く。曖昧な訳が入る余地を残さない

アレルギーは特に注意してください。「入っていないと思います」を翻訳すると、多くの言語で「入っていません」に近い断定になります。確認が取れないなら、確認が取れないと書くのが正しい対応です。

そして、精度を上げたいときに効くのはツールを変えることより、日本語の原文を直すことです。

壊れやすい日本語直した日本語
「大丈夫です」「ご利用いただけます」/「ご利用いただけません」(どちらか明示する)
「できないこともございません」「可能です。ただし前日までのご連絡が必要です」
「少々お時間をいただきます」「30分ほどお待ちいただきます」
主語のない長い一文一文を短く切り、主語(お客様/当館)を書く
「お預かりさせていただいております」「お預かりします」(敬語の入れ子を減らす)

定型文を作るときに、この形で作り直しておくのがいちばん確実です。その場の思いつきより、過去に作ったテンプレートから同じ言い回しが何度も再生産されます。

何ヶ国語まで用意するか、そしてLINEは誰に通じるか

ここで前提を1つはっきりさせておきます。LINEは日本・台湾・タイでは広く使われていますが、世界共通のアプリではありません。欧米圏や中国本土からのゲストは、別のアプリやメール、OTAのメッセージ機能を使っています。

ゲストの層主な連絡手段受け皿
国内・台湾・タイLINELINE公式アカウント。ここは友だち追加を狙う
欧米・その他メール、OTAのメッセージ、宿のサイトサイトに置いたWebチャット。アプリを入れずにその場で聞ける
中国本土現地のアプリ、OTAのメッセージOTA側の受信を止めない。無理にLINEへ寄せない

つまり「LINEだけ」でインバウンド全体は受けられません。LINEとWebチャットを両方置き、届いたものを1つの画面で見る形にするのが現実解です。逆に言えば、どのチャネルから来ても対応の窓口が1つなら、言語が増えても運用は増えません。

言語の数は、増やすほど更新が止まります。予約データを見て、実際に多い上位2言語だけ固定文を作るのが続けられる範囲です。それ以外は英語で用意し、個別対応は翻訳で受けます。中国語は繁体字(台湾・香港)と簡体字(中国本土)で読み手が違うので、どちらの客層が多いかで決めてください。リッチメニューは文字を詰め込まず、アイコン中心にして言語に依存させないのがコツです。

OTA経由のゲストと、どう接点を作るか

予約サイト経由の予約は、手数料が引かれるうえに連絡先が自分たちの手元に残りません。次回も同じ経路になり、手数料が永久に続きます。ここを変える唯一の機会が「滞在中」です。

予約前に連絡先を交換する行為は予約サイトの規約で制限されている場合があるため、各社の定めを確認してください。そのうえで現実的なのは、館内に置いた友だち追加のQRです。

  • Wi-Fi案内カードの隣——到着直後に必ず見る紙。ここが最も追加されます
  • 客室の卓上——館内案内・大浴場の時間をLINEで見られる、という文脈で置く
  • フロント・朝食会場——チェックアウト時の「次回は直接ご予約で」の一言とセットで

QRは置き場所ごとに分けて作ってください。どこから追加されたかが分かると、翌年の紙の作り方が変わります。作り方は友だち追加QR・URLの作り方にまとめています。追加してもらうときは「登録すると何が届くか」を1行で書くこと——中身を約束しないまま集めると、帰宅後すぐにブロックされます。

宿泊後は、お礼と口コミのお願いを1通。口コミを増やす仕組みは、インバウンドでは特に効きます。次回の直予約につなげる設計はホテル・宿泊施設のLINE集客で扱っています。

トークで受けてはいけない情報

言語が違うと、ゲストは親切心で多くの情報を送ってきます。パスポート番号、クレジットカード番号、パスポートの写真は、こちらから求めないだけでなく、送られてきたときの扱いを決めておいてください。チャット履歴に残った時点で、スタッフ全員が見られる場所に個人情報が置かれることになります。決済は決済ページのURLで、本人確認はフロントで。詳しくはLINEで個人情報を扱うときのルールにまとめました。

よくある失敗

失敗何が起きるか直し方
翻訳ツールを入れて終わりにする問い合わせ件数は変わらず、返信の手間だけが残る先に「聞かれる前に答える」層を作る
案内を予約直後に全部まとめて送る当日には忘れられていて、結局聞かれる予約直後・前日・当日朝・チェックイン後の4便に割る
「大丈夫です」で答える可否が逆に訳されることがあるできる/できないを明示した文に置き換える
キャンセル料を翻訳文だけで伝える認識が食い違い、当日にトラブルになる日本語と英語を併記し、金額・日数は数字で
5ヶ国語ぶん作ろうとする更新が追いつかず、古い情報が残り続ける予約実績の上位2言語+英語に絞る
LINEだけで受けようとする欧米・中国本土のゲストが最初から届かないサイトにWebチャットを置き、窓口を1つにまとめる
館内にQRを置いていないOTA経由のゲストと接点が生まれず、次回も手数料がかかるWi-Fi案内カードの隣に置く。場所ごとにQRを分ける
パスポート・カード情報をトークで受ける履歴に残り続け、スタッフ全員が見られる決済はURL、本人確認はフロントで

まとめ

  • 多言語対応の本命は翻訳ではなく先回り。1週間分数えて、上位の質問を4便に割り振る
  • 翻訳に任せるのは案内文まで。料金・キャンセル・アレルギーは併記して数字で
  • 精度はツールより日本語の原文で決まる。主語を書き、短く切り、曖昧語をやめる
  • LINEは全世界共通ではない。LINE+Webチャットで受けて、窓口は1つにする
  • 言語は上位2つ+英語。増やすより更新し続けられる範囲に収める
  • OTA経由のゲストとの接点は滞在中の館内QRが唯一の機会

LCALL(自社サービス・PR)では、LINEとWebチャットの問い合わせが同じ受信箱に集まり、誰が対応中かが分かるので二重返信と放置を防げます。4便の案内はシナリオ配信で予約後から自動で流せ、館内QRは経路別の友だち追加URLで置き場所ごとに計測できます。受信箱シナリオ配信・Webチャット・リッチメニューはLite(月額9,800円)から標準搭載チャット翻訳はPro(月額19,800円)に含まれます。宿泊業全体の設計はホテル・宿泊のLINE集客にまとめています。導入のご相談は無料相談から承ります。

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